―原材料高騰の中、「販促物を減らす」より「固定費」に注目。新卒入社社員の挑戦
■社名
株式会社Mizkan Holdings
■創業
1804年
■従業員数
3,700名
(2022年4月1日時点)
■事業所
日本(本社、東京ヘッドオフィス、8支店、3サテライト、5営業所、3事務所)、 ロンドン、シカゴ、シンガポール、台北、香港、北京
株式会社Mizkan Holdingsは、SPinnoを導入することで、販促物の在庫管理を最適化し、倉庫費用を年間約15%削減しました。データ分析を活用し、販促物の使用状況を把握することで、無駄な在庫を減らし、効率的な保管の実現へ。営業活動に影響を与える販促物の制作自体は減らさずコストの削減を実現いただいています
―中村様の業務内容をお伺いしてもよろしいですか。
私は2021年にミツカングループ(以下「Mizkan」)に新卒入社し、営業企画部に配属となりました。部署としてのミッションは、自社商品をより魅力的に見せ、販売を促進する施策を企画・実行することです。
営業企画部の中で私が担当しているのは、店頭で使われる販促物の発注や在庫管理など、販促物に関連する業務全般となります。
―販促クラウド「SPinno」(以下「SPinno」)を導入した背景について教えてください。
私が担当になった時にはすでにSPinnoは導入されていましたが、主な導入目的は、販促物の制作・発注業務を最適化し、コスト削減・業務効率化につなげることです。
具体的には、SPinno上で得られるデータを分析して、ターゲットやエリアごとにより高い効果が見込めるカスタマイズPOPを作成できるようにしたり、過去の販促物出荷の実績を元に最適な印刷・出荷方法を判断できるようにしていきたいと考えています。
昨今の原料高騰などの影響もあり、私たち営業企画部でもコスト削減の意識は日々高まっており、データ分析とコストの最適化はますます重要になっています。
―実際に、SPinnoで得られるデータはどのようにコスト削減に役立てていただけているのでしょうか。具体的な例があればお聞きしたいです。
当初想定していた分野とは異なるのですが、実際にSPinnoで得られるデータも参考にしながら、販促物の在庫数を最適化し、販促物の保管に使っていた倉庫の固定費を年間で約15%削減することに成功しました。
SPinno上で営業が利用している販促物の発注履歴などが蓄積していたので、そのデータを抽出することで「この販促物がほとんど使われていない」など、販促物や使用状況の分析ができました。
また、そのデータを元に、過去の販促物の利活用を促進(※)し、倉庫内を整理して、スペースを有効活用できました。
(※SPinno TOP画面イメージ・・・営業に特に使ってほしい販促物は、上の図のようにSPinno上で「トピックス」やバナーで目立たせ、利活用を促進できます)
販促物のコスト削減というと、今まで発注数量・作成量の見直しといった制作費に目がいきやすく、その分野は常々改善を続けていました。
しかし、あまり作成の方を削減しすぎてしまうと、営業活動に影響を与えてしまうのではという懸念もあります。
そこで「販促物の制作以外で、削減できるコストはないか」という視点で費用を見直し、「倉庫にかかっている固定費を削減できないか」という考えに至りました。
―固定費に着目され、さらに実際に行動に移されるのがすばらしいですね。何から着手し、どのように進められたのですか。
当社では、半期に1度、社員1人ひとりが「無理ではないけど、ちょっと背伸びして達成するような目標」を定め、達成のために計画を立てて、行動に移していきます。
「倉庫費用の削減」は、実は私が自身に課したSENOBI課題でした。
達成のためまず着手したのは、どのように販促物が保管されているかの現状把握です。
当社で大事にしている考え方の1つに「三現主義(現地・現実・現物)」というのがあります。”現地”に出向き、”現物”を見て、”現実”を把握し、課題を解決していくという意味です。
私も三現主義を実行するべく、まずは販促物を保管している倉庫を見に行こうと考えました。
新卒で入社したばかりだったこともあり、倉庫では「この荷物はもっと高く積めないのでしょうか?」といった率直な疑問をどんどん伝えさせてもらいました。
倉庫の管理をされている会社の方々も、それを無下にせず対応してくださり、使っていない販促物の整理や棚の段組みを変えるなどの工夫を重ね、倉庫のスペースを効率化できました。
当初の予定では「半年間で倉庫費用削減の方法を考える」ところまでが私のSENOBI課題だったのですが、半年間で実際に費用を削減するところまで成功させることができました。
また、今回は私だけではなくSPinnoの担当者、倉庫管理をお願いしている企業の担当の方などと連携したことで、私だけでは出せなかったようなアイデアをたくさん出していただき、ここまでの倉庫費用減ができたと思っています。
Mizkanは、仲間や協力会社とともに取り組むことにも重きを置く社風があります。それを実際に体験できたことは、私にとって大きな成功体験でした。
―今後、営業企画として取り組んでいきたい、販促に関する課題はありますか。
販促物に関する数値分析と、他部門との情報共有は強化していきたいと考えています。
例えばSPinnoから得られる年間の販促物の発注推移を見ますと、5月・9月に営業担当からの販促物発注依頼が集中していることがわかります。
5月は夏に向けた麺つゆなど「涼味」系の販促に、9月は冬に向けて鍋つゆなどの販促に注力していくためです。
他にも特定の支店からだけ発注が多い販促物などがあれば「何に使うのか」を確認して、現場の状況や販促に関するニーズをヒアリングすることもあります。
そうした数値の動きの把握・分析を続けていけば、発注が集中する商品・時期を予測して早めに準備に着手したり、営業からの情報を活かしてより効果的な販促物を多く発注したりと、販促物業務を効率的に進められるのではと考えています。
―今後もぜひ、SPinnoでお手伝いできることがあればお聞かせください。 最後に、Mizkan様にとって、SPinnoは「何ができるシステム」でしょうか。
社内の人に説明するとしたら「販促物の発注がオンラインでできる、ECサイトのようなシステム」と答えます。
登録者側からは作成量の実績・履歴などを確認でき、次に販促物を制作する際に、根拠のある数量で印刷依頼ができるのがありがたいです。
やはり販促物の発注時は「なぜこの数量なのか」を説明できるようにする必要がありますので、SPinnoのデータを元に「昨年この数量で発注し、昨年はこのくらい不足あるいは余剰があったので、今期はこの数量とします」と言えるようになりました。
発注数を最適化できてきたことで、最近ではムダな在庫も減ってきていると感じます。
一方で発注する側からは検索結果がサムネイルで表示されるので見やすく、注文しやすいと思います。 それでも、部署異動したばかりでSPinnoの使い方がわからない社員、全ての機能を使いこなせていない現状もありますので、社内に向けてSPinnoの活用説明会を行うなど、自分から積極的に働きかける動きもしています。
引き続き、SPinnoの活用を進めて、営業や外部とも連携を取りながら、販促物業務のコスト削減、効率化につなげていきたいです。