広告販促として注目の「リテールメディア」とは
2023・04・11
小売の店舗やECサイトが広告のメディアとなる「リテールメディア」が近年、注目を集めています。
リテールメディアとは小売店舗に設置されているデジタルサイネージや、小売業が運営しているECサイトや店舗アプリなどを指します。
デジタルサイネージやECサイト内で、メーカーの商品のプロモーション広告を配信することで、小売やEC事業者が商品売上に加えて広告のプラットフォーマーとして収益を得られることや、アプリや店舗から得られた購買データなど小売事業者独自の販売データを活用できることが特徴です。
コロナ禍の影響で、消費者の購買行動におけるECサイトの重要性がより増したことも、こうしたリテールメディアが注目されることの追い風となっています。
リテールメディア活用の例
店舗アプリ(マツモトキヨシ:ドラッグストア)
マツモトキヨシで買い物をすると、アプリ利用の有無の確認をされ利用していなければその場でアプリの導入をオススメされたりします。
今購入しようとしていた商品が「キャンペーン対象で15%値引きされるからアプリを利用するとお得です」といった具合にレジカウンターでサジェストされた経験に覚えのある方もいるのではないでしょうか。
こうしたアプリは商品を割安で購入可能なクーポンやポイントの機能がありデジタルな販促ツールとして活用されているものですが、さらに広告配信と連携し購買UPに寄与する取り組みも行われています。
広告配信で購買率向上
マツモトキヨシが主幹になってメーカー製品の広告をGoogle広告で配信し、広告に接触したユーザーがマツモトキヨシに来店し購入につながるといった取り組みが行われています。
これはメーカーとマツモトキヨシの共同販促モデル「Matsukiyo Ads」として2019年に始まった取り組みで、アプリを通じて来店計測や購買データの収集・分析ができ、それを広告配信に活かせることが強みとなっています。
大規模ECモール内の広告サービス
世界的なECモールを運営しているAmazonには様々なメーカー・ブランドや小売業者がストアに出品し販売をしています。
出品者向けに、Amazonストア内外で消費者ににリーチし商品の認知を高めることができるAmazon広告というサービスが展開されています。
スポンサーというタグがついた商品や、検索結果のさらに上に表示されるブランドロゴつきの商品の表示などがこうした広告サービスによるものです。
コンビニエンスストアのサイネージ
ファミリーマートでは、一部の店舗でレジ上に大きなデジタルサイネージを3つ配置し商品の広告やニュースなどが音声付きで配信しています。
広告配信にはFamilyMartアプリやPOSの購買データと連携が可能で、全国16600店舗を有するファミリーマートにおけるリテールメディア事業として注目を集めています。
小売業の広告販促として注目
Amazonでは、2022年第4四半期の発表にて広告サービスの売上が前年比19%増で、オンラインストアの売上が2%の減少となっていることと対象的に、売上に貢献する重要なセグメントとして成長しつつあります。
また、ファミリマートでは2022年では3000店舗だったサイネージ設置店を2023年末には10000店まで増やす計画としており、非常に勢いのある事業であることが伺えます。
多店舗展開や集客力の高いECモールなどを運営している小売業にはアプリの利用やECでの購入履歴、実店舗のPOSデータや来店計測のデータなど、消費者について多くのデータが集まります。
店舗のDX=収益化
こうした情報資産と自社が運営する店舗やECなどの販売チャネルを活用した取り組みがリテールメディアの特徴です。リテールメディアの取り組みはウォルマートやAmazonなど海外市場の成長に注目が集まっている分野ですが、日本でもDX化が進むことで、店舗のメディア化に取り組む企業が増えております。
メーカーからは自社の商品にリーチしてもらう強力な広告施策として、小売業としては店舗で発生する従来の売上に加えて店舗の「データ」を売上に変えることが可能です。
リテールメディアという概念自体は新しいものではありません。しかし材料費の高騰、物流のコスト増などによってインフレの影響を受ける小売業において、店舗を活用した広告収益のビジネスモデルは非常に注目されています。
Cookie規制も後押しに
個人情報に関する法の規制やブラウザの自主規制により、WEBサイトに訪問したユーザーのCookieの利用が制限される取り組みが始まっています。
サードパーティデータの利用が規制されることで、来型のターゲティング広告の配信や顧客情報の取得が難しくなるなどWebマーケティングへの影響も大きいとされています。
規制が進む中で、サードパーティデータではない、ファーストパーティデータ(例:自社のメディアやECサイトなどから取得できた情報など)を活用した、リテールメディアによる広告配信の有用性はより高まっていくことが考えられます。
コロナ禍や個人情報の規制の変化など大きな環境・外部要因も相まって、ますますリテールメディアの重要度・注目度が上がっており、今後の広告販促の重要なポイントとして必ず押さえておきたい要素の一つです。
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