【販促の基礎】POP(ポップ)とは?直感的に商品・サービスの魅力を伝える3つのポイント
2023・04・18
店や売場を訪れたら、商品の横に置いてあるPOP(ポップ)に目が止まり、思わず商品を購入したという経験が誰でも一度はありますよね。
POP(ポップ)は「もの言わぬセールスマン」とも言われるように、お客様の購買意欲を促すのに非常に重要な広告媒体です。
そんなPOP(ポップ)について、直感的に商品・サービスの魅力を伝えるための3つのポイントを、実例を見ながら解説していきます。
目次
POP(ポップ)の基本
POP(ポップ)とは
POP(ポップ)は「Point of purchase advertising」の頭文字を取った略語で、一般的には「ポップ」や「ピーオーピー」と呼ばれます。紙や布に、商品名、価格、キャッチコピーや商品の説明文などを入れ、商品やサービスの良さをアピールする広告媒体です。
POP(ポップ)の役割
POP(ポップ)の主な役割は「口頭説明の補助」と「売場イメージの訴求」による販売促進です。
POP(ポップ)は、店舗スタッフに代わって売り出したい商品やサービスの情報を提供し、ときに購買意欲がなかったお客様に対しても有効に働きかけ、興味を持たせ、販売の後押しをするという利点があります。
また、イベントやキャンペーンなどの販促企画に合わせて、季節の移り変わりを表現したり、商品の世界観を作り出すことにより、売場の雰囲気を大きく変えたりすることもできます。POP(ポップ)の規模や範囲で、キャンペーンの大きさやお得感も表現することが可能です。
POP(ポップ)はTVや雑誌などのメディア広告とは違い、売場で直接お客様に商品を訴求することができ、ダイレクトに購買に繋がります。つまり、優れたPOP(ポップ)はそれ1つで商品の売上や店舗全体の売上を左右するほど購買に影響を与えるのです。
POP制作のポイント(1):シズル感のある販促物で五感を刺激
POP(ポップ)の基本と役割を理解したところで、ここからは実例をあげながら効果的なPOP(ポップ)について解説していきます。
1つめは五感を刺激する「シズル感」です。
例えば夏になると飲みたくなるビール(年中おいしいですが)。海外では常温のビールも飲まれますが、日本ではよく冷えたビールが好まれるため、スーパーや居酒屋などの売場ではキンキンに冷えたビールを表現するPOPが多く見られます。
食べ物や飲み物の販促において、重要な表現の1つである「シズル感」。売場をいかに”シズル感を取り入れた演出”にするかは、商品の売り上げに大きく左右します。
シズル感とは
単語を耳にすることが増えて何となく意味はわかっているつもりでも、説明するのは案外難しいのが「シズル感」。これは英語の「sizzle」が語源で、揚げ物や肉が焼ける際に「ジュージュー」と音をたてる様子を表しています。
そこから「見る人の食欲をそそるような状態」の表現として使われるようになりました。食品の活きのよさやみずみずしさといった「おいしそうな感じ」を演出し、消費者の五感を刺激することで購買意欲を高めます。商品ごとに表現されるシズル感は、例えばこのようなものです。
- 【肉】焦げ目、ジュージューと焼ける音、火や煙
- 【温かい料理、飲み物】湯気、くつくつと煮える音、暖かな暖炉などの情景
- 【冷たい料理、飲み物】冷えた氷、水滴や凍った表面、グラスや氷の合わさる音、川や海の涼しげな情景
- 【果物、野菜】表面についた水滴、包丁で切る音、自然栽培を連想する情景
シズル感を活かした販促の事例を見てみましょう。
これは暑い夏の売場の様子です。ケースの下に大きな氷のディスプレイを使うことで、キンキンに冷えたビールを連想させています。氷独特の気泡やひび割れなどを美しく再現し、光を透過する仕様で幻想的な空間演出がされていますね。
缶ビール型のバルーンなどアイキャッチ効果のあるPOP(ポップ)で消費者の目線を誘導しています。夏の暑い日に涼しげな演出で、思わず足を止めたくなるスペースです。
POP(ポップ)はポスターなど平面状のものから立体的なものまで様々な種類があり、こうしたブロックタイプのディスプレイは売場を問わず柔軟に対応することができます。他にものぼりやポスター、大型のディスプレイなど様々な種類があり、表現方法が多岐に渡っているのも店頭POP(ポップ)の面白いところです。
皆さんのお近くのスーパーでも売場を見渡したら、きっと様々なシズル感を活かした演出とPOP(ポップ)で商品の販売促進が行われていると思います。季節や商品に合わせてディスプレイやPOP(ポップ)を組み合わせれば、効果的な販促が可能です。
圧倒的なシズル感で消費者の目線を惹きつけましょう。
POP制作のポイント(2):販促に効果的なフォントの活用
販促物のデザインにおいてフォント選びは欠かせない重要な要素で、POP(ポップ)でも同様にとても大きな影響力を持っています。フォントが与える印象が商品のイメージを作り、消費者の購買までも決定づけるといっても過言ではありません。
世の中には漢字、ひらがな、カタカナのほか、数字やアルファベットも含めてデザインされた様々なフォントがあります。親しみやすいフォントや上品で高級感があるフォント、ポップ、楽しげなど、それぞれに持っている印象がまったく違います。
そんなまさに個性をもった”生きもの”ともいえるフォントについて、文字から受けるイメージをまとめてみましょう。
書体別イメージ
【ゴシック体】親しみやすく、元気なイメージ
【明朝体】上品で高級感のあるイメージ
【丸ゴシック体】やわらかで楽しげなイメージ
【毛筆体】伝統的で和風なイメージ
【新書体】新しくてポップなイメージ
いかがでしょうか?同じ文字列でもフォントを変えるだけで受ける印象が違うことが実感できたかと思います。
フォントの太さ・大きさ
文字の太さによってもそこから受けるイメージは異なります。太くなると力強く、細くなると優しげです。
また文字の大きさは、大きくなると元気でパワーのあるイメージになり、小さくなると繊細で信頼感のあるイメージになります。
「それ行け!販売促進部」のロゴは?
一例として「それ行け!販売促進部」のロゴを見てみましょう。ゴシック体で親しみやすく、少し丸みを帯びており、ポップで楽しげかつ元気な印象を与えています。
ロゴデザインの際にビジネスで活用していただきたいアイデアや少しかたいテーマでもユーモアや親しみ、カジュアルさを交えてお届けすることをイメージしてロゴを制作しました。
無数にある中でのフォント選びは難しいですが、販促物や商品のパッケージが消費者やユーザーにどんな印象を持ってもらいたいかを考えると、ぴったりなフォントが見つかると思います。
POP制作のポイント(3):デザインを支配するカラーグレーディング
ここまで五感を刺激する表現とフォントが持つ影響力について解説してきましたが、POP(ポップ)を制作する上でもうひとつとても重要な要素があります。それが「色」です。
突然ですが、ご自身の通勤風景を思い返してみてください。
支度を終え、玄関を開けて電車やバスに乗り会社に到着・・・。もしかしたら途中でコンビニに立ち寄る方も多いかもしれません。オフィスに到着し、「さぁ! 今日も1日頑張るぞ!」と仕事が始まるまでに、さていくつのPOP(ポップ)や広告を目にしているでしょうか?
例えば、バス停のポスターや電車の中吊り広告があり、コンビニの中にもいたるところにPOP(ポップ)が使用されています。皆さんは今朝見た広告をひとつでも覚えていますか?よほど意識していない限り、どんなデザインがあったのか記憶にない方がほとんどではないかと思います。
外で見るPOP(ポップ)や広告はもちろんのこと、手元のスマホで見るものなど、世の中にはたくさんの情報があふれかえっています。現代人が1日に受け取る情報量は平安時代の人々の一生分だそうですし、ある調査では人が一日に見る広告の数は4,000とも1万とも言われています。通勤や通りすがりの短い時間で必要な情報を取得したり、他者に発信したりすることは非常に難しいことなのです。
しかしそういった環境の中でも、素早く情報を伝える手段があります。それが「色」による効果です。
カラーグレーディングとは
まずは具体例を見ていきましょう。下の2つの画像をご覧ください。
タイトルを付けるなら、1枚目の画像は『終わる恋』 2枚目の画像は『始まる恋』でしょうか。ともに「同じ構図」で「同じキャッチ」を使用していますが、まったく違う印象を与えています。
こういった技術は古くから映像業界で使われており、「カラーグレーディング」と呼ばれています。シーンの色味を調整し、製作者の意図する雰囲気を受け手に伝える手法です。
受け手側はその意図を無意識にキャッチできるため、長時間見つめる必要も、文字などの情報を読む必要もなく、素早く状況を理解することができます。
販促におけるカラーグレーディングの活用法
上で紹介した様に、シーン(POPではメディア面)を特定の色調でそろえることで、より感覚的に情報を伝えることができます。
一般的な「色の持つイメージ」と「グレーディングを元にした考え方」はこちらの通りです。
赤は激怒(rage)、青は悲観(grief)、緑は敬愛(admiration)、黄色は警戒(vigilance)のイメージを持ち、POP(ポップ)への活用ではスポーツ観戦など活発なものは赤、保険の広告など安心感を想起させたい場合は緑を使うのが効果的です。
この例はごく一部で、さらに人により受け取る印象にずれもあるため、必ずこの配色である必要はありませんが、一般的なイメージとして覚えておくとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?POP(ポップ)制作では商品説明のコピーに気を配ることが多いかもしれませんが、忙しい現代人に届けるPOPや広告は、直感的に商品・サービスの特徴が伝わり、購買意欲をそそるものであることが求められます。
「五感を刺激する表現」「フォント」「カラーグレーディング」を上手に使い、見るだけで魅力が伝わるPOP(ポップ)で受け手への素早いアプローチを目指しましょう。
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投稿者プロフィール
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デザイン事務所での経験を経て2014年株式会社SPinnoにジョイン。
主に食品メーカー、消費財メーカー、チェーンストアの販促におけるクリエイティブプランニングからコンセプトワークまでを手がける。
CXの観点から「売れる」「伝える」デザインを企画し、印刷からWEB広告・動画広告などデジタルクリエイティブまでトータルソリューションを提供。
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