今、再注目される「ZINE」とは?起源と魅力、PR・販促としての活用例
2023・10・12
インターネット上に情報が溢れ、媒体の種類と表現手法が多様化した昨今、古くからある”ZINE(ジン)”という小さな出版物が、クリエイティブの手法として、再度注目を集めています。
この記事では、ZINEとは何か、その起源と魅力、PRや販促のツールとしてどのように活用されているかをご紹介します。
「ZINE」とは?
ZINEとは、個人や小規模のグループによって作られる雑誌のような出版物を指して使われます。
語源については諸説ありますが、「Magazine(雑誌)」「Fanzine(ファン雑誌)」を短くした言葉という説が有力です。
ZINEのような個人・コミュニティの表現手法としての小規模刊行物は、さまざまな国・時代に発生しているため、ZINEの定義を設けるのは簡単ではありませんが、昨今使われる「ZINE」という表現方法の共通点として、以下のようなものが挙げられます。
- 自己主張や独自の視点を反映し、制作される
- 自己表現、アート、文学、政治、サブカルチャーなど、どんなテーマでも制作できる
- 低コストで製作され、限られた部数で印刷される
- ハンドメイドで作成されることが多く、切り貼りや手描きの要素が含まれることがある
- 表現方法は自由であり、文章、写真、コラージュなどさまざまな要素で構成される
- パンフレット、冊子、小冊子、フォトコピー、デジタルフォーマットなど形式は問わない
Magazineのように大衆に向けたものではなく、あくまで「自分や周囲の人の視点や主張を、自由にカタチにしたものがZINE」と言えそうです。
ZINEの起源と変遷
1930年代
ZINEの起源は、1930年代にSFファンの間で作られた「FanZine(ファン雑誌)」であるという説が一般的です。
当時のSFファンたちはコミュニティ内で非営利の出版物を自主制作し、自分のアイデアや持論、保有する情報、SF映画・雑誌などへの感想などを掲載して、交換し合っていました。こうした過程で彼らは結束を強めたり、自分と趣味の近い仲間を見つけることができました。
1950-1970年代
1950年代にはアメリカの詩人たちがオリジナルの詩集を制作するようになり、1970年代にはパンクロックの影響を受けた若者たちが、DIY(Do It Yourself)運動をしながら自分たちの音楽やカルチャーを表現するようになるなど、ZINEの多様性が広がっていきました。
1990年代
グランジ音楽と「Riot grrrl(リオットガール)」運動に影響を受けたZINEが登場しました。
Riot grrrl運動とは、世の中に溢れる女性差別的表現の数々に対し、女性がそのような差別的表現のストレスから解放される場を作ろうという運動でした。
このムーブメントの中で、彼女たちの発信する「ZINE」が女性のための読み物として普及し、コミュニティが生まれたと言われています。
また、この頃にアメリカ西海岸でサーファー文化、スケーター文化が台頭。彼らはサーフィンやスケートに関する情報やファッションを紹介するZINEを制作するようになり、流行の最先端を紹介するものとしてのZINEのイメージが拡大します。
2000年代
2000年代に入るとインターネットやPCの普及により、画像やテキストを組み合わせた制作物は、個人でも容易に制作ができるようになりました。その影響により、ZINEもアート、文学、ファッション、音楽など、さらに多様な分野で幅広く利用されるようになります。
またインターネット販売なども開始され、離れた場所でも共通の趣味の仲間を見つけたり、遠くにいる人にも自分のZINEを届けられるようになりました。
このように、ZINEはアンダーグラウンドカルチャーや反体制的なメッセージを伝える手段として誕生しましたが、次第に広く自分やコミュニティの独自の視点・趣味などを発信する手段としても広がっていきました。ZINEは時にコミュニティを生み出したり、コミュニティ間の結束を強める、コミュニケーションのツールとしての側面を持つものになっています。
ZINEをPR・販促に活用した事例
自分たちの想いや考え、ストーリーを自由な形で発信でき、時に人と人との交流を生むZINEは、企業・個人のPR・販促の手法として使われることも増えてきています。
ここではPR・販促戦略としてZINEと活用している事例をいくつかご紹介します。
「ここでしか出会えない」を武器に店舗へ集客
出典:銀座蔦屋書店Webサイト
蔦屋銀座店、代官山店、渋谷店などの店舗では、ZINEやアーティストのオリジナルブックなどを常時取り扱っている他、テーマを決めたZINEの展示会、近隣の専門学校などとコラボしたZINE展示会などを行っています。
これらの施策は「ここでしか出会えない」というZINEのプレミアム感を活かして集客に貢献している他、他店との差別化やブランディングにもつながっています。
ZINE制作のワークショップイベント
「ZINE ワークショップ」などで検索するとたくさんの情報が出てきます。
アーティストやカメラマンが主催するワークショップ、印刷会社などが主催しその場で冊子を持ち帰ることができるワークショップ、文具店やクラフトショップが主催し商品を使いながらZINEを制作するワークショップなど、ZINEの自由度の高さを活かしたさまざまなテーマで開催が可能です。
ZINEを集めて歴史や街を知る回遊型イベント
一般社団法人江戸東京ブランド協会では2023年3月に「きらり日本橋老舗めぐり」というイベントを開催しました。
日本橋周辺の8店舗において、伝統ある技や食文化と出会える小冊子ZINEを配布し、参加者に各店のZINEを集めてもらう回遊型の施策が行われました。
老舗のストーリーや想いを参加者に知ってもらうことができる、PRとしてのZINEの活用事例です。
まとめ:ZINEはPR・販促にも活用できる、魅力的なメディア
ZINEは、近年再び注目を集めているメディア形態です。
ZINEの魅力は、何と言っても、その自由度が高く個性的な表現方法にあります。自主制作のため、制作者自身の思いや情熱が反映させやすく、オリジナリティの高いコンテンツになります。
企業やブランドが自社の事業や商品を紹介するためにZINEを制作し、ファンや顧客に提供することで、独自の魅力やメッセージを伝えることも可能です。
展示会やイベントのノベルティとしてZINEをプレゼントすることもでき、PR・販促のツールとしての活用もいろいろと考えられます。
インターネットが普及した現代において、ZINEを手に取って読むことで得られる特別感や、制作者の思いが伝わる直感的な内容は、今後ますます存在感を発揮していくことでしょう。
皆さんもぜひ、ZINEの魅力を理解し、自己表現・発信の手段として活用してみてはいかがでしょうか。
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販売促進部です。
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