訪日中国人愛用の百度地図ではJR秋葉原がよく分からない件と他
2016・07・26
インバウンド需要を視野にいれた訪日外国人への販促以前のあれこれ
インバウンド需要という言葉が聞かれるようになって数年が経過しました。
2013年に訪日外国人旅行者数が1,000万人を超え、市場へのインパクトはますます無視できないものとなっています。
JNTO(日本政府観光局)の発表によれば訪日外客人の2015年には過去最高の1,973万人となり、45年ぶりに、訪日外客数と出国日本人数が逆転したそうです。
45年前といえば1971年、昭和46年ですが何か凄いトピックがあったかなーと思って適当に調べてみると、オーストリアと中国が外交関係を樹立したり、マクドナルドの日本第一号店が出来たり、ドルショックが起きたり、ソ連の火星探査機が火星に衝突して火星に到達した初の人工物となったり巨人がV7を達成したり、色々有り過ぎてキリがなかったので考えるのをやめましたが、同じくJNTOの資料によると、1971年推計は訪日外国人旅行者数が66万人、出国日本人数が96万人程度だったそうです。
出典:年別 訪日外客数、出国日本人数の推移(1964年‐2015年):JNTO
約半世紀で、海外との人の出入りが20倍から30倍ほどになったと考えると、ものすごい変化だなあと小学生並の感想を抱かざるを得ないという心境です。
外国人観光客向けへの販促を考える際のヒントなど
使うツールが違うかも知れない(GoogleMAPと百度地図)
あくまで一例にすぎませんが、たとえば地図。
観光地で散策などするために必須のツールだと思います。昔は旅行用のガイドマップを片手に歩いたものですが、今はそうしたハンディブックを見ることに加えて、WEBの地図を見るという方も多いのではないでしょうか?
特に、「困ったらGoogleMAP」という方も多いかもしれません。
筆者は基本GoogleMAPで探します。乗り換え案内なども調べられるので便利ですね。位置情報もしっかり連動できます。
しかしながら、国や環境が違えば、そうした当たり前のツールが当たり前でなくなったりもするものです。
アジア、とりわけ訪日中国人に親しみのあるWEB地図はGoogleMAPではなく百度地図(http://map.baidu.com/)だったりします。
株式会社トランザクションのIRによれば中国人の約70%のシェアを百度地図がもっており、旅行での活用も多いと見込まれています。
GoogleMAPと百度地図では当然、地図上に掲載されている地名の見え方や、ランドマークの表示、店舗の名前やそうした詳細な情報の見え方も大きく異なっており、我々の感覚では「GoogleMAPを見ればすぐ分かる」というような場所でも、百度地図では分からなかったりもするかも知れません。
JR秋葉原がよくわからない百度地図
試しに外国人観光客の多い秋葉原の地図を比較してみましょう。
↑こちらがGoogleMAP
↑こちらが百度地図
大分違うと思います。
まずアキバの主要ターミナルはどう考えてもJRだと思いますが、百度だと地下鉄のほうが存在感バツグンになってますね。
どうするんでしょうこれ。迷わないんですかね。
百度ではデフォルトで地名が中国語表記になっているので、住所の中国語表記を調べるのに便利そうです。
また、Googleのほうが細かい施設まで多く掲載されており、百度だと結構ざっくりしたものしか掲載されてませんね。
こうした状況なので、百度に店舗の情報などを掲載するサービスなども上記のトランザクションでは展開するそうです。
地図に載ってるか否かが、どれほどセールスに影響するかは現状計り知れませんが、こうした違いが存在していることを知っておくことは、まだまだ開拓途上のインバウンド需要の中で勝ち抜いていくためには戦略的に必須なことなのではないでしょうか?
日本人と中国人で見ている情報が違う、得られる情報のレベルが違う。
日中間に限らずあらゆる国との比較でこうした観点の分析の仕方は重要になりそうです。
とりわけ日本人はあらゆる点で「恵まれ過ぎている」ため、海外視点を忘れないという点では訪日外国人がどのようなツールや方法で観光を行い目的の場所やサービスにアプローチするのかという点には留意しておきたいところです。
潜在市場に着目する
ざっくりいうと、2015年の訪日観光客は86%をアジアからの観光客が占めているそうです。
こちらの記事は、2014年の来日外国人、および世界の各地域、欧州・アジア・アメリカ・アフリカといったセグメントで潜在的な市場を考察すると、アジアからの来日潜在市場は2億人は見込めるが、実際の来日は1700万人と8%ほどで、もっともっと訪日客の増加を伸ばしていけるのではないか、さらに言えば他の地域の訪日客は潜在市場からすればもっと少なく、その実績を伸ばしていけるのではないか?という記事です。
特に欧州の観光客は124万人ほどですが、潜在市場では1億人ほどが想定できるそうです。
分かりやすくいうと、理論上考えられるヨーロッパからの訪日が、現実では非常に少なく、もっと伸びしろがあるんじゃないか?ということです。
欧州各国からの訪日の特徴では、欧州でも最大の人口を持つロシア、ドイツからの訪日客が少ないようです。
2015年のイギリスの訪日観光客は約26万人ですが、これはイギリスの人口6,500万人の0.4%であります。
対してドイツは訪日観光客は約16万人で、人口8,100万人の0.2%ほどとなります。
記事によれば、イギリス人とドイツ人で観光資源、観光地としての魅力がそれほど差があるとは考えにくく、要因の一つとしては、ドイツ語への対応の遅れ、とりわけプロモーションや販促戦略に原因があるのではないか、ということが言及されています。
インバウンド需要というと、近隣のお得意様である中国、韓国などアジアからの訪日外国人からの需要がまずはメインターゲットとなりがちだと思いますが、まだまだ欧州からの来客が少ないという現状を、そこに潜在的な市場が眠っていると捉えて欧州からの旅行者を増やすムーブメントを起こせるような施策を行うことが出来れば、上記アジアからのインバウンド市場で遅れをとっている企業やサービスにも大きなチャンスがあるかも知れません。
旅行者からすれば、現地の少ない情報を頼りに旅行に行くかどうかを決めるわけで、母国語で書かれた看板や販促PRが確認できれば、行ってみてもいいかと考えるかもしれませんし、
①ある国の訪日客が増加することと
②その国からの訪日客へのプロモーションを増加させること
この2つは必ずしも順序が①⇒②である必要はなく②⇒①の順番で需要を喚起するという事例が起こってもおかしくはないと感じています。
参考記事など
統計データ(訪日外国人・出国日本人)|統計情報|日本政府観光局(JNTO)
トランザクは連日の年初来高値、「百度地図」の販売代理店基本契約を締結-サーチナ
IR情報 | 株式会社トランザクション|TRANSACTION Co.,Ltd.
百度地図
GoogleMAP
なぜ欧州の観光客は日本よりタイを選ぶのか | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
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主にWEB上の作業を担当しているWEB要員です。
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