「個別販促」についてのあれこれ。ちょっとした事例やメリットデメリットなど
2016・05・16
カード履歴で個別販促 クレディセゾンなど人工知能使い分析(日経電子版)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO02350060V10C16A5NN1000/
カードの履歴から、ユーザーごとに異なったセールの情報や新商品の情報が配信されるそうです。具体的には限度額引き上げの提案や、クレジットカードでの決済が多い旅行商品の情報などが配信されるようです。
一昔前は
Aという商品についてのキャンペーン販促を
「○○歳以上で、○×ヶ月カードの利用があって、先月の利用額は○○円以上」のユーザーに一斉にメルマガで行う」
というような感じだったのが個別販促では
「毎日集計されるデータを自動でAiが判断し、○○時間前に××の商品を△の場所で購入したユーザーに対して、○○時間後にBの販促を行うメルマガを送信し、そのメルマガを開封したユーザーに対してはCの提案、開封しなかったユーザーに対してはさらに○○時間後にDというキャンペーンのメルマガを送信する、」
というような感じになるのかな。と思います。
この例はかなり極端な例ではあり、前者のような販促も並行して行われる中で、
後者のようなリアルタイムにユーザーの情報を補足してそれに反応できるような仕組みが「個別販促」のポイントになります。
こうした取組みは、GoogleやFacebookなど、世界的なIT企業が既に広告配信などで
取り組んできております。
最近ではFacebook社がInstagramにおいて、
個別の販促ができる広告を提供することを発表しています。
インスタグラムが販売促進機能を強化、ユーザー行動履歴による関連商品広告の配信が可能になる新メニューを発表
http://fashionmarketingjournal.com/2016/05/instagram-dynamicad.html
また、アメリカでは大手の小売業において、顧客に応じた、割引の提案を行う戦略が数年前からとられているようです
個別販促のメリットとは何か
このように、より詳細なユーザーの行動履歴の情報を把握して、そこにアクションを行う手法は
企業の販促戦略として、これからどんどんスタンダードになっていく流れとなっているように思えます。
個別販促のメリットとしては、
1.ユーザーのニーズを捉えやすくなる
2.ニーズと異なるユーザーにムダな販促を行う機会が減る(コスト削減)
3.ユーザー一人ひとりへの販売価格が柔軟になる
1は読んで字のごとくです。
ニーズを捉えやすくなれば、当たりはずれのある販促を、「はずれの少ない」にすることが可能です。
カレーが食べたい人にはカレー屋さんの情報を、ラーメンが食べたい人にはラーメンの情報が。
数千人・数百人の大ざっぱなグループではなく、一人ひとりに向けて、
それぞれ最適な情報を配信できれば、購入してくれる・来店してくれる可能性も向上するかもしれません。
2は1の結果そうなる、という感じでしょうか。
例えばラーメンが食べたい人にカレー屋の情報を送りつけたらスパムだと思われて、
配信拒否になる可能性が上がるかもしれませんし、
DMなどリアルな紙媒体の送付は送る必要のない箇所に送ることが減るため不要な印刷コストなどを削ることが可能です。
3は販売価格をユーザーごとに変化させることで、
ある商品の利益の最大化に近づけることが可能ではないでしょうか。
例えば、定価3000円の商品を500円引きセールをしたとします。
もともとこの商品の売れ行きがゼロではないなら、
3000円でも購入していたユーザーと、購入していなかったユーザーが存在するはずであり、
出来れば定価で買ってくれるユーザーには定価で買って欲しい、というのが販売側の本音ではないでしょうか?
個別販促であれば元々購買意欲の高いユーザーには別のセールを、
購買意欲の低い特定のユーザーにのみ該当する商品やサービスの販促を行うことで、
可能な範囲での定価販売を維持しつつ、セールを行うことも可能になりそうです。
個別販促のデメリット
1.「行動を追われている」ということに対するユーザーからの印象とプライバシー保護など
2.不公平感を招く可能性
3.そもそもニーズに対応するコンテンツがなければならない
1に関しては、個人情報、プライバシーの問題に関連した問題です。
個人の情報が厳格に保護されるべき、という風潮がどんどん強まっている昨今、
購入履歴などの利用も規制されるようになる可能性は否定できません。
そうでなくとも、細かい情報によってユーザーの好みや生活に合わせた販促を行うことは
ユーザーにとって自分の知らないところで分析され監視されているような、一種の気味悪さを
抱かせてしまうことにつながることもありそうです。
2は、特定のユーザーにのみセールや割引などの情報を発信することで起こりうるデメリットです。
情報の拡散は予想しがたく、そして非常に素早いため、
予期せぬ形で、ユーザー同士の不公平感を生み出し、トラブルにつながるかもれません。
3についてはデメリットというか、個別の販促を行う前提でありますが、
ニーズを捉えたとして、企画や商品がそれに追いついていなければ個別の販促が機能する機会は生まれないでしょう。
逆に自社の商品ではニーズに対応できなかった。ということで、
新しいサービスなどを生み出すきっかけにもなる、と考えればメリットと捉えることも出来そうです。
データの収集と活用がますます重要になる中で、個別の販促の重要性も高まっていくかと思います。
その中で上記のようなメリットデメリットを把握し、効果的かつリスクの少ない個別販促を行っていくための手法やツールが販促における重要な武器となっていくかもしれません。
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